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ドイツ語の発音:聞き分けるミニマルペア24組

ミニマルペアとは、たった1つの音だけが違う2つの単語のことです。聞き分けられれば、その音は身についています。聞き分けられないと、何年も同じ単語を言い続けて、なぜ相手に聞き返されるのか不思議に思うことになります。

よく聞くことが、話す力につながるよ。

このリストがよくあるリストより短いのは、ひとつのルールに従っているからです。入っているのは、日本語では区別しない音の違いだけです。日本語ですでに区別している違い――たとえば母音の長短――は、何の苦労もいりません。日本語が区別しない違いこそ、練習する価値があります。たとえばüとu、二つのch、そしてのどの奥のrです。

ですから、7のグループはどれも、まず日本語話者がその音の代わりにどう発音してしまうかを説明しています。それが本当に役に立つ情報で、その下の単語はその裏づけです。発音記号は補助としてだけ使います。記号を知っているならそれで十分ですし、知らないなら記号は何も教えてくれないからです。

「Tour」か「Tür」か

長短のü [yː ʏ]とö [øː œ]――u、o、i、eとの対比。

ここで起きること: 日本語には、舌をiやeのように前に置いたまま、唇を強く丸める母音がありません。日本語の「う」は唇をほとんど丸めないので、なおさらです。そこで耳はいちばん近い日本語の音に置き換えます。üは「ユ」か「イ」に、öは「エ」か「オ」になり、TürがTourに、schönがschonに近づいてしまいます。こつは簡単です。長い「イー」を言い、舌をそのままの位置に保って、唇だけを口笛を吹くようにすぼめます――それが[yː]です。「エー」で同じことをすると[øː]になります。唇をすぼめたときに舌が後ろに下がると、また「ウ」や「オ」に戻ってしまいます。もう一つのわなはつづりです。wは日本語にない[v]の音で(Wasser、wer)、vはたいていの語で[f]と読みます(Vater、viel)。だからvierとfürは同じ音で始まります。

一方意味もう一方意味
Tourツアー、周遊Türドア

Die Tour beginnt vor der Tür des Museums.ツアーは博物館のドアの前から始まります。

Tourはフランス語から来た語で、長い[uː]――唇を丸めた「ウー」です。Türは[yː]:舌は「イ」、唇は「ウ」です。
Mutter母Mütter母たち(複数)

Eine Mutter, zwei Mütter.母が一人、母が二人。

ここでは二つの点だけが複数を作ります。BruderとBrüderも同じです。言い分けないと、母は一人のままです。
vier4für〜のために

Vier Karten für heute Abend, bitte.今晩のチケットを4枚お願いします。

どちらもfで始まります。vierのvはfと読むからです。違いは唇だけで、vierでは横に引き、fürでは丸めます。舌は動きません。
schonもう、すでにschön美しい、すてきな

Es ist schon spät, aber der Abend war schön.もう遅いけれど、すてきな夜でした。

kennen知っているkönnen〜できる

Sie kennen das Lied, aber sie können es nicht singen.彼らはその歌を知っているけれど、歌うことはできません。

ここではöの相手はoではなくeです。唇を丸めないとkönnenがkennenになります。
drucken印刷するdrücken押す

Sie müssen zweimal drücken, um zu drucken.印刷するには2回押さなければなりません。

「Stadt」か「Staat」か

短い母音と長い母音:[a]と[aː]、[ɛ]と[eː]、[ɪ]と[iː]、[ɔ]と[oː]。

ここで起きること: ここでは日本語が大きな味方です。「おばさん」と「おばあさん」のように、日本語も母音の長さで意味を区別するからです。[ʃtat]は「町」、[ʃtaːt]は「国家」――日本語の「シュタット」と「シュタート」の違いと思えば大丈夫です。ただしe、i、oでは音色も変わります。短い母音は開いてゆるく、長い母音は狭く張っています。Mitteの短いiは少し「エ」寄り、Mieteの長いiは純粋な「イー」です。つづりが助けになります。母音の後の子音が二つ(Bett、offen)なら短く、母音を重ねる、ie、発音しないh(Staat、Miete、Höhle)なら長くなります。日本語を話す人にとって本当の難関は母音ではなく、母音のない子音です。Stadtを「シュタッド」、Strumpfを「シュトルンプフ」と、子音のたびに小さな「ウ」や「オ」を入れてしまうのです。子音は子音のまま、次の子音へ直接つなげましょう。stとspは語頭で「シュト」「シュプ」になります。

一方意味もう一方意味
Stadt町、都市Staat国家

Die Stadt bekommt Geld vom Staat.町は国からお金をもらいます。

dtというつづりは長さについて何も言いません。Stadtの母音は短いのです。語頭のstは「シュト」で、間に母音を入れないように。
offen開いているOfenオーブン、ストーブ

Die Tür vom Ofen ist noch offen.オーブンの扉がまだ開いています。

offenの短いoは日本語の「オ」。Ofenの長いoは唇をもっと丸め、uに近づけて、はっきり長く言います。
Mitte真ん中、半ばMiete家賃

Die Miete ist Mitte des Monats fällig.家賃は月の半ばに支払い期限が来ます。

ieは2文字で一つの音、長い「イー」です。Mitteの短いiはゆるく、少し「エ」寄りに聞こえます。
Schiff船schief傾いた、斜めの

Nach dem Sturm lag das Schiff schief im Hafen.嵐の後、船は港で傾いていました。

「Beeren」か「Bären」か

長いe [eː]と長いä [ɛː]。

ここで起きること: 短いäは短いeとまったく同じ音です。WändeとWendeは同じに発音し、日本語の「エ」に近い音です。長くなると二つの違う母音になります。長いä [ɛː]は口を大きめに開けた「エー」、長いe [eː]はずっと狭く、舌を高くして「イ」に近づけた「エー」です。日本語の「エー」はその中間にあるので、耳はBeerenとBärenを同じに聞いてしまいます。長いeは唇を少し横に引いて、最後まで「エイ」にならないように保ちます。目のわなもあります。äはaではなくeの仲間です。Bärenは「バーレン」ではありません。北ドイツでは二つを一つの音で言う人も多いのですが、標準語では区別します。

一方意味もう一方意味
Beerenベリー、木の実Bären熊(複数)

Im Herbst fressen die Bären viele Beeren.秋になると熊はたくさんのベリーを食べます。

Bärenの長いäは口を開けた「エー」。Beerenは舌を「イ」のほうへ寄せた狭い「エー」です。

「Kirche」か「Kirsche」か

二つのch、[x]と[ç]――sch、kとの対比。

ここで起きること: i、e、ä、ö、ü、ei、euの後、l、n、rの後、そして語尾-chenのchは[ç]です。ich、Milch、Mädchen。これは日本語の「ひ」の最初の音と同じなので、「ひ」を母音なしでささやけばできあがりです。ところがa、o、u、auの後のchは[x]で、日本語にはありません。Nacht、Buch、auch。のどの奥、「ク」を言う場所で、息をこすらせて出します。猫が「ハーッ」と威嚇するときの、ざらっとした息に近い音です。「ナハト」の「ハ」のように軽い[h]にすると、ドイツ人にはchに聞こえません。[ç]を「シ」に置き換えるのも要注意で、「シ」はschに聞こえるため、Kirche(教会)がKirsche(さくらんぼ)になってしまいます。schは「シ」より唇を前に突き出して丸めます。

一方意味もう一方意味
Nacht夜nackt裸の

Es war eine warme Nacht, und die Kinder liefen nackt durch den Garten.暖かい夜で、子どもたちは裸で庭を走り回っていました。

Nachtの[x]は、のどの奥でこする音です。kにするとnacktになります。
acht8Akt(劇の)幕

Der erste Akt dauert acht Minuten.第1幕は8分です。

Kirche教会Kirscheさくらんぼ

Vor der Kirche verkauft sie Kirschen.彼女は教会の前でさくらんぼを売っています。

rの後のchは[ç]、「ひ」の子音です。「シ」にすると教会がさくらんぼになってしまいます。
Teich池Teig(パンやケーキの)生地

Die Reste vom Teig bekommen die Enten am Teich.生地の残りは池のかもがもらいます。

der Teigのgは語末なので[k]になります。語尾-igではさらに[ç]になります。wichtig、König。

「bitte」か「bitter」か

口の奥のr、母音になるr、語末の弱いe――そしてrとlの区別。

ここで起きること: 日本語のラ行は、rとlの中間にある一つの音で、舌先で歯ぐきをさっとはじきます。ドイツ語ではそれでは足りません。lは舌先を歯ぐきにつけたまま横から息を流す音で、rはまったく別の場所、口の奥ののどひこのあたりで作ります。rotやReiseの[ʁ]は、うがいをごく軽くしたような、声を伴う摩擦の音です。語末の-erは子音ではなく、短く開いた「ア」に近い音[ɐ]です。bitterはほぼ「ビッタ」と聞こえます。これと対になるのが語末の-e [ə]で、力を抜いたあいまいな「エ」です。「ビッテ」とはっきり言うと少し硬く聞こえます。-enではほとんど消え、machenは[ˈmaxn̩]です。アクセントも助けになります。日本語は音の高さで語を区別しますが、ドイツ語はふつう語幹の最初の音節を強く長く言います。arbeitenは「アル」が強く、語尾-e、-er、-enは決して強く言わないので、弱いのです。

一方意味もう一方意味
bitteどうぞ、お願いしますbitter苦い

Der Kaffee ist bitter — noch Zucker, bitte.コーヒーが苦い――砂糖をもう少しお願いします。

最初に練習したい組です。弱い-eと、ほとんど短い「ア」に聞こえる-er。ここにラ行の音はありません。
eine不定冠詞(女性)einer(そのうちの)一人、一つ

Einer der Gäste hat eine Frage.お客さんの一人に質問があります。

語尾が文法を運んでいます。性、格、そして後に名詞が来るかどうか。二つの語尾を区別しないと、その情報が消えます。日本語の「が」「を」にあたる役目を、ドイツ語では冠詞の語尾が担っているのです。
dieseこの(女性・複数)dieserこの(男性)

Dieser Stuhl ist bequem, diese Bank nicht.この椅子は座り心地がいいけれど、このベンチはそうではありません。

der Stuhlは男性、die Bankは女性です。語尾-erと-eは名詞の性に従います。
Wette賭けWetter天気

Ich gehe jede Wette ein, dass das Wetter hält.天気がもつほうに何でも賭けるよ。

wは日本語にない[v]で、上の歯を下唇に軽く当てて声を出します。「ウェ」にならないように。
Lehre職業訓練、教えLehrer教師

Nach der Lehre wurde er selbst Lehrer.職業訓練の後、彼は自分が教師になりました。

一語に二つの違うrがあります。最初の[ʁ]は子音、2番目の[ɐ]は母音です。どちらも日本語のラ行ではありません。語頭のlは舌先を歯ぐきにつけたまま。hは発音しません。

「reisen」か「reißen」か

母音の間では有声、語末では無声;s、ß、zの文字。

ここで起きること: 日本語も「さ」と「ざ」を区別するので、音そのものは難しくありません。わなはつづりにあります。母音の前のsは濁った[z]の音で、Sonneは「ゾネ」、reisenは「ライゼン」です。ßとssはいつも澄んだ[s]で、reißenは「ライセン」です。ローマ字の感覚でsを「サ行」と読むと、reisenとreißenの区別が消えます。zはさらに別で、日本語の「ツ」の子音[ts]です。Zeitは「ツァイト」、zehnは「ツェーン」、Zugは「ツーク」。そして語末では濁った音が澄んだ音になります。RadとRatは同じ発音で、Tagは[k]で、liebは[p]で終わります。この組は北部・中部ドイツの標準的な発音です。南部の多く、オーストリア、スイスでは、母音の前のsも澄んだ音になることがあります。

一方意味もう一方意味
reisen旅行するreißen裂ける、ちぎれる

Beim Reisen kann schon mal ein Riemen reißen.旅の途中でベルトが切れることもあります。

語尾がなくなると違いも消えます。er reistとer reißtは同じ発音[ʁaɪ̯st]です。eiは「アイ」です。

「Eis」か「heiß」か

母音の前の声門閉鎖[ʔ]――hや、発音しないhとの対比。

ここで起きること: ドイツ語は母音で始まる語や語幹を、前の語にくっつけません。いったんのどを閉じて、また開きます。それが声門閉鎖[ʔ]で、日本語の小さな「ッ」で止めたときや、驚いて「あっ」と言うときの軽い詰まりに近いものです。これがないとvereisenがverreisenになってしまいます。二つ目はhです。日本語の「は」「へ」「ほ」のhはドイツ語のhと同じでかまいませんが、「ひ」は[ç]、「ふ」は唇を使う[ɸ]です。HundやHutを「フ」で言うと、唇の音が混じります。のどから息だけを出して「ハ」の口でuを言いましょう。母音の後のhは発音せず、母音が長いことを示すだけです。sehen、Uhr、Bahn。この組には読み方のわなもあります。eiは「エイ」ではなく「アイ」で、Eisは「アイス」です。euとäuは「オイ」(heute、Häuser)、ieは長い「イー」です。

一方意味もう一方意味
Eis氷、アイスクリームheiß暑い、熱い

Wenn es heiß ist, wollen alle Eis.暑いと、みんなアイスを食べたがります。

eiは「アイ」で、Eisは「アイス」、heißは息だけで始まる「ハイス」です。ローマ字読みで「エイス」とすると、どちらも通じません。
aus〜から、外へHaus家

Um acht geht sie aus dem Haus.彼女は8時に家を出ます。

auは一つの音節で、日本語の「アウ」を一息で言う音です。Hausのhは息だけで、こする音はありません。
Ende終わりHände手(複数)

Am Ende des Tages hatten alle kalte Hände.一日の終わりには、みんな手が冷たくなっていました。

声門閉鎖は語と語の間でも働きます。am Endeは[am ˈʔɛndə]で、「アメンデ」と続けません。

音の聞き分け

2つの単語のうち1つが読み上げられるので、どちらだったかを答えます。選択肢が2つなら、当てずっぽうでも半分は正解します。そこで、どのペアも2回出てきます。それぞれの単語につき1回ずつです。その音が身についていなければ、2回を合わせた正答率は50パーセント前後になり、それがはっきり表れます。1回当たっただけでは、何もわかりません。

これらのペアをリスニング練習で練習する(声が変わります)